ちょっちょっちょっ

ちょっちょっちょっ


10年ほど前の話。

バンド活動を活発にやっていた頃は、
町田方面のスタジオでやっていて、
帰りに駅ビルのとんかつ屋
晩飯を喰って帰る。

というのが、そのころの流れ。


で、オヤジさん=店主が、とんかつ料理(調理場)を担当していて、
いつもは、若めの女子がウエイターとレジ係。

その日は、60近いババぁが、やっている。

あ、いつもの、おねえさん、やめちゃったんだな。


来店してから、オヤジさんが、落ち着きがない。


何度も、「ちょっちょっちょっ」を連発している。
英語なら、Wait a minute!


5分たって、全貌が見えて来た。

オーダーを伝票も持たずに取りに来て、
レジのところにいって、オヤジさんにオーダーしようとして
忘れて、再度、オーターを聞きに来る。

こっちは、三人で行っているのに、お手拭きが1つしかない。

お茶は、超ぬるく、濃い。

フロアは、なんか、ゴミだらけだ。


空いているテーブルの椅子は、ぐちゃぐちゃで、
すわったテーブルでは、ソースとかも、まったく入ってないし、
箸入れとかも、すきすきになってて
ナプキンも、2枚とかしかない。

からし入れのフタも、半開きだったのか、
水分が飛んでしまっている。


料理は、各オーダーを覚えているわけがなく、
案の定、
「とんかつ定食のお客様は?」の確認もなく、
どんどんと、適当に、
料理を置いて、あとは、自分らでやってくださいな的な。


あきらかに、仕事をしていないのだ。(お金をいただくという対価価値を理解していない)


きっと、ぐちゃぐちゃなことをするそのたびに、
オヤジさんが、
「ちょっちょっちょっ」といいながら、指導してるわけだが、
「はいはいはいはい」と答えて、まったく、動じない。


きっと、失敗しても、オヤジさんが、「ちょっちょっちょっ」って
治してくれるし、平気平気。的なノー天気な、感じ。
「あああ、もう、めんどうくせえなぁ」が、聞こえてきそうな顔。


関係ない時に、レジの「チーン」という音とかが鳴って、
ラップのようになっていたりしました。

「ちょっちょっちょっちょっちょっちょっ」
「チーン」
「ちょっちょっ」
「チーン」


極めつけは、
「お会計、お願いします」
「2150円になります」
「1万円お預かりします」
ちーんのあと、
レジに、10万円を打っている。


「えっと、おつりは、9万7,850円になります。」
と言いながら、
1万円をわさっとレジから、取ろうとしたその瞬間。


「ちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっ
ちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっ
ちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっ
ちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっ
ちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっ
ちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっ
ちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっ
ちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっ
ちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっ」



オヤジさん、調理場ほったらかして、
レジまでやってきて、

「おつりはぁ、7,850円にぃ〜、なりますぅ〜。」
(流れで、お客に、半怒りな状態になっている)


で、ばばぁは、へらへらしている。
オヤジさん、めちゃめちゃ、怒ってる。


そして、調理場に戻って、
「ぐぁああああああああ」って言ってる。

たぶん、料理が放置されたせいで、何かがゴミに変化した瞬間だ。


ばばぁ。自分のせいで、料理がダメになったという事実を
気付きもせず、知らんぷりで、すーっといなくなる。


で、ばばぁ、お客に「ありがとうございました」も言わず、
われらのいたテーブルに、片付けに行く。


で、皿をかたして、テーブルをまーるく拭いただけで、
箸やナプキン、ソース、からしの入れ物等の確認は、何もしない。



オヤジさん、「ありがとうござい、ちょっちょっちょっちょっ」


1ヶ月後、そのとんかつ屋、潰れてなくなってた。



唄「ちょっちょっちょっ」ラップ作りました。


♪ちょっちょっちょっ。(チーン)
 ちょっちょっちょっ。(チーン)
 ちょっちょっちょっ。(チーン)
 ちょっちょっちょっ。(チーン)

 「2150円になります」(チーン)
 「1万円お預かりします」(チーン)
  いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、十万円(チーン)
 「えっと、おつりは、9万7,850円になります。」(チーン)
 
 ちょっちょっちょっ。(チーン)
 ちょっちょっちょっ。(チーン)
 ちょっちょっちょっ。(チーン)
 ちょっちょっちょっ。(チーン)


ちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっ(チーン)




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