イーガーコーテル

イーガーコーテル


顧問の方が、会社の終業後に、
「ことば塾」という、wording技術を磨くための講座を
開いてくれている。


そこで、居酒屋チェーンの、オーダーの取り方の話になったのだが、
わしは、
20年近く前の「餃子の王将」での風景を思い出した。


少し、頭の弱い子は、
特殊な言葉に反応し、上野駅のホーム等での、アナウンスを覚えて、
歩きながら、うれしそうに、くりかえして遊ぶ。と言った、
ほほえましいとも取れる場合もあれば、
邪魔ともとれる(16番ホームで、12番ホームのアナウンス)
場合がある。

彼らは、耳コピ能力がすごいようなのだ。


それと同じ「遊び」を、「餃子の王将」でやり始めたわけだ。

今は、知らないが、
餃子の王将」では、特殊のオーダーの取り方があり、
(なんで、そうなっているか不明)
餃子1人前の追加オーダーが入ると、
注文を受け付けたフロア担当が、
「イーガーコーテル」と、大声で、厨房に伝達する。
その際、フロア長のような人が、
「餃子、都合、8人前」的な、餃子オーダー数の足し上げ的な
戻りがあるのだ。

頭の弱い子は、その戻りが面白いらしく、しかも、法則性が
わからないから、いろんな戻りがある、宝箱なのだ。



この「遊び」を、頭の弱い子が、参加し始めたのだ。


架空追加オーダーを、声色を変えて、「イーガーコーテル」を
言い始めた。


母親や、後見人が、そばにいれば、すぐにやめさせるのだろうが、
その時は、放し飼いだった。


王将の店員全員は、
まさか、頭の弱い子が、架空オーダーを追加していることも
夢にも思わないので、
焼き職人は、その架空追加オーダーの追加分を、正規のオーダーとして
焼き始めるので、
実際のオーダー数とかけ離れて、餃子の焼きが
増え、焼き職人は、超忙しくなる。


で、はたと、フロアの客数を見て、気が付く。



焼き職人「(あれ?なんで、この客数で、こんなオーダーは入ってんの?)」
焼き職人「おい。餃子、どこだよ」
焼き職人「おまえか?オーダーしたの」
新人「違いますよ」
焼き職人「おまえか?オーダーしたの」
旧人男「違いますよ」
焼き職人「おまえか?オーダーしたの」
旧人女「違いますよ」
焼き職人「おい。客の伝票、全部、確認しろ」
フロアマネージャ「オーダー、全然、入ってません」
焼き職人「じゃ、誰だよ?オーダーしたの」



頭の弱い子(低い声)「イーガーコーテル

頭の弱い子(女声)「イーガーコーテル


その後、しばらく、
大声のオーダーがない、小声でオーダーする、
静かな店となってた。


それでも、しばらく、


頭の弱い子(低い声)「イーガーコーテル

頭の弱い子(女声)「イーガーコーテル

は、続いた。


でも、フロア長の、
「餃子、都合、8人前」的な、餃子オーダー数の足し上げ的な
戻りがなくなったので、
頭の弱い子は、つまらなくなったのか、出て行った。


世の中の、システムは、
一人の頭の弱い人間のせいで、いとも簡単に、崩れるのだ。笑



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