RFID導入による「まる見え化」実例(その1)


簡単な例を示しましょう。


ある工程Aでは、前工程から流れてきた部品加工をする工程です。


工程Aを担当する、3人の人、A1、A2、A3がいます。
この3人は、まったく同じ作業をし、
A工程の加工をしたものは、すべて、B工程に入ります。


A工程では、A1、A2、A3の3人は、独立して作業をし、
お互いに手伝わないという処理をします。


A1、A2、A3の3人は、通常時は、
8:30に出社し、17:30に帰宅し、
昼には、12:00から13:00に一斉に休憩を取ります。

仕掛かりを残したまま、時間通りに、昼の休憩をとり、
時間になると帰宅し、残業はしないこととします。


また、単純労働のため、
「作業途中の休憩は、各自、5分以内取ること」とだけ
決まっており、だれも監視していないとする。


ものごとを単純にするために、不良品は、ここでは
発生しないとします。



         

       -------A1-------
----------- | -----------------|
前工程---------------A2------------------- B工程
----------- | -----------------|
       -------A3-------



わかりやすく説明するために、ビフォーアフターを使います。


ビフォー(導入前)
導入前、極端な例としては、
今日完成した途中部品 <a> の個数のみをカウントします。

個数(A1)=5
個数(A2)=6
個数(A3)=7
個数(A total) = 18

という記録を、取りました。


ここで取得したデータから計算できるものは、いくつかあります。
(1)それぞれのアウトプット数、全体のアウトプット数
(2)それぞれのパフォーマンス
パフォーマンス(A1) = 5/18
パフォーマンス(A2) = 6/18
パフォーマンス(A3) = 7/18

この2つということになります。



アフター(導入後)
導入後、各工程の作業場に、RFIDリーダ・ライタが置かれ、
各製品は、個体管理され、
各人の工程の「入り時間」、「出時間」が記録されます。




         

       -------A1 R/W(A1)-------
----------- | -------- R/W(A1)---------|
前工程---------------A2 R/W(A2)------------------- B工程
----------- | --------- R/W(A1)--------|
       -------A3 R/W(A3)-------



各工程に来た製品は、個体管理されるので、シリアルのIDが割り振られ、
作業開始時刻、作業終了時刻が、
それぞれに記録されるので、
A1さんの作業記録は、このようになります。


a1_0000001_02202007_08:30_02202007_09:45
a1_0000002_02202007_09:55_02202007_11:05
a1_0000003_02202007_11:10_02202007_13:30
a1_0000004_02202007_13:40_02202007_15:20
a1_0000005_02202007_15:25_02202007_16:45
a1_0000006_02202007_16:55_nnnnnnnn_nn:nn


とすると、
A1さんは、A工程において、作業記録表をエクセルなどに展開すると


製品ID---------------入り時刻---------出時刻
a1_0000001---------08:30----------09:45
a1_0000002---------09:55----------11:05
a1_0000003---------11:10----------13:30
a1_0000004---------13:40----------15:20
a1_0000005---------15:25----------16:45
a1_0000006---------16:55----------nn:nn


となります。


作業状況、非作業状況も、差分で計算可能です。


製品ID----------入り時刻----出時刻----作業時間----非作業時間
a1_0000001----08:30------09:45-----01:15----00:05
a1_0000002----09:55------11:05-----01:10----00:10
a1_0000003----11:10------13:30-----01:20----00:10
a1_0000004----13:40------15:20-----01:40----00:05
a1_0000005----15:25------16:45-----01:20----00:10
a1_0000006----16:55------nn:nn-----nn:nn----nn:nn



アフター(導入後)は、いろんなことが見えてきますよね。

(1)A1さんは、休憩は5分と決めているのに、
半分くらいは10分休憩取得している。
(2)A1さんは、平均01:20で製品を加工するようである。
(3)A1さんは、午前より、午後の方が、仕上げに時間がかかっている。
(4)A1さんは、午後3時前後の工程が異常値だ。
私用外出なのだろうか?
たばこ部屋で話こんでたのだろうか?
会議があったのだろうか?
誰かに呼び出されて説明でもしてたのだろうか?
(5)A1さんは、本日、6個目の製品は、仕掛かり途中だ。


もし、A1さんの社員証にも、RFIDタグがあり、
工場内の各部屋、各工程毎に、RFIDリーダ・ライタが設置されていれば、
おおよそ、A1さんが、どの位置にいたのかが
プロッティングされ、
おおよそ何をしていたのかは、検討が付きます。


案外、A1さんは、非作業時間のすべてを
受付のU1さんの場所ですごしていたりするわけです。


このようなことが、いろいろと
まる見え化」してくるわけです。